死化粧師 1 (1)
おもい
タイトルと表紙絵だけだと、マニアックな印象を受け読んで見たいと思わなかった。けれど帯の小さいメモを読み、とりあえず一巻だけ、と。一話目は、なるほどエンバーマーはそういうことをして、遺族の悲しみを和らげることが仕事なのだなと、短くかなり展開速く描かれながらもわかった。ところどころに主人公の女グセの悪さが描かれるけれど、読み進むと血の通う人間らしい理由がわかって、少し切ない。ストーリー構成はとても上手で、考えてしまう。とにかく、おもい。
生者と死者の間で
主人公の間宮心十郎は女たらしだが腕のいいエンバーマー。
彼のもとには様々な死因で亡くなった遺体が運ばれてくる。
心十郎の手によって死者は生前の輝きを取り戻し、遺族のもとへ帰っていく。
その美しく安らかな死に顔は遺族の悲しみをも浄化する―。
エンバーミング(遺体衛生保全)という日本では耳慣れない職業を題材にした異色の作品です。
生と死をテーマにした一つ一つのストーリーが心に染みます。
絵も美しい。独特な描線、登場人物の台詞やファッションも素敵です。
心十郎がカッコいいです。一見クールでいい加減な男に見えますが、実は努力家で結構純情だったり。
ナンパなくせに本気の恋愛には不器用で、アズキちゃんといる時の彼は好きな女の子を苛める小学生男児のよう。
そんな心十郎に振り回されつつ世話を焼くアズキちゃんは心優しい可愛い女の子です。
二人の恋の行く末や如何に―?
この巻では、事故でひどい傷を負って亡くなったプリマ・ドンナと残された婚約者のお話が泣けました。
全巻お薦めですが、個人的にはこの1巻と心十郎がエンバーマーになるまでを描いた3巻がお気に入りです。
慰め
説明文を読み興味を持ちこの人の漫画を初めて読みました。
パッと見開いたときの絵の第一印象は正直余り好感を持ちませんでした。
線は何処までも大胆で太く、黒髪はベタ塗り。
何か違和感があると思ったら、トーンを最低限しか使っていない印象。(それは好印象でしたが)
漫画を読んでいるというより「アート」を見ている感覚がして
「あー・・・ちょっと失敗したかなぁ・・・」と思いましたが内容はちゃんとしたものでした。
一話目ですでにうるうるきてしまいました。
誰もが美しい姿のまま死ねるわけじゃない。
醜くなってしまった愛する人の姿を見る肉親や恋人の心を「エンバーマー」が癒してくれます。
読んでいくうちに絵のほうも気にならなくなりました。
こういった「アート」的な漫画も内容さえ伴っているならいいかなぁと思います。